RECORDえどカン記録

第2回 えどがわ未来カンファレンス

令和2年11月13日、「第2回えどがわ未来カンファレンス」がタワーホール船堀にて開催されました。「えどがわ未来カンファレンス」は江戸川区の未来を考えるために発足したプロジェクト。様々な場所で活躍する委員を招き、それぞれの立場から意見を交換し合うことで、これからの江戸川区をより良くしていくアイデアが生まれることを目指します。

2回目の今回は、全18名の委員のうち9名にご出席いただき、SDGsの17のゴールのうち8つをテーマに、より専門性を高めた分科会として議論を重ねました。

  • 宗家花火鍵屋15代目・天野安喜子さん
  • 国連の友Asia-Pacific代表理事・金森孝裕さん
  • 明治大学経営学部公共経営学科教授・菊地端夫さん
  • アゼリー江戸川チーフマネージャーのグリズデイル・バリージョシュアさん
  • 思考家・白土謙二さん
  • ローマ五輪女子100m背泳ぎ銅メダリスト・竹宇治聰子さん
  • 東京大学教養学部環境エネルギー科学特別部門客員准教授・松本真由美さん
  • 上智大学ソフィアオリンピック・パラリンピック学生プロジェクトGo Beyond代表・山本華菜子さん
  • デザイナーのライラ・カセムさん
  • (五十音順)

江戸川区長の斉藤猛が座長を務めながら、今回も各委員の経験や見識を発表し合いました。

SDGsの概要と江戸川区の現状について

今回議論の対象となるSDGsで設定されているゴールは

  1. 1「貧困をなくそう」
  2. 2「飢餓をゼロに」
  3. 4「質の高い教育をみんなに」
  4. 5「ジェンダーの平等を実現しよう」
  5. 7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
  6. 13「気候変動に具体的な対策を」
  7. 16「平和と公正をすべての人に」
  8. 17「パートナーシップで目標を達成しよう」

の8つです。
斉藤区長からSDGsの概要や区の考え方について説明したのち、区の担当者が世界と江戸川区の現状を対比させながら説明しました。

各委員の意見

続いて、各委員から自身が関心のあるゴールに関する意見や提案が寄せられました。
その中から主な意見をお伝えします。

  • Goal 1 貧困をなくそう

    貧困では「生活保護」だけでなく、ワーキングプアのことも考えないといけない。障害者の61.1%は年収100万円以下、98%が200万以下である。人への手当などは「人への投資のようなもの」と考え、年収で線引きして簡単にカットしないほうが良いのではないか。

    「貧困」というほど大きな話ではないが、柔道場では子どもの道着のおさがりを譲り合う文化がある。さらに最近は、私服の交換も盛んである。そういう教育も、スポーツから発信できる良い部分だと感じている。

  • Goal 2 飢餓をゼロに

    江戸川区にある子ども食堂を農園とつなげてみてはどうか?ロンドンの真ん中にも農園があり、市民はそこで食事を摂り、子どもたちは食について学ぶこともできる。何かをしながら学べるアクティビティベースのようなものができるとよい。

  • Goal 4 質の高い教育をみんなに

    区民の皆さんの中には時間などに余裕があり、誰かのお手伝いをしたいと常々感じている方々が多くいると思う。そうした人たちが自分からお手伝いができるような雰囲気、あるいは場所・システムなどを作ると、人手が足りていない様々な部分でカバーできるものがあるのではないか。

    カナダには、「障害者であっても普通の学校に行く権利がある」というインクルーシブ教育が40年ほど前から存在している。インクルーシブ教育で学べたことにとても感謝している。

    障害者も子どもも高齢者も同じ場所にいるような未来が作れれば、お互いの理解も進んでダイバーシティに近づくはずである。こうした活動は将来にもつながるので、貧困の解消にもつながるかもしれない。

    日本では「ディスレクシア(識字障害)」や「ディスプラクシア(統合運動障害)」が支援の対象として定められていないことも問題である。例えば、「PCで文字を打って覚える人」もいるため、教室へのタブレットの持ち込みを一律に禁止するのはいかがなものかと思う。

    日本では定年退職後は全員が「無職」となるが、海外ではリタイアドティーチャー、リタイアドエンジニアなど「退職した〇〇」と呼ばれる。そういう人材に子どもの学びを手伝ってもらってみてはどうだろうか。

    SDGsの当事者は若い世代である。恩恵も被害も受ける可能性がある。若い世代が新しい意識を持って、新しい行動をして、新しい時代を作っていくには教育が重要である。学校だけでなく、様々な学びの場を作るべきである。

    なぜ勉強するのかというと、大人になった時に、「人を助けるための引き出しを多く持つため」だと教えている。また、習い事に関わらない分野でも、「学校で問題を起こしてしまった」子には、しっかりと諭すように問いかけて、本人が共感を得て納得できる指導を心がけている。

    大学という場で働いていてコロナで学生が大学に来られなくなったことで、教育の場が持つ“拠点性”の重要さを改めて実感した。大学はオンラインだけではない。学生同士学び合ったり、雑談をしたりなど、日常生活を通じた社会性を生む場所でもある。

    コロナ禍で「どうにか修学旅行をやろう」と全国の学校の方々が頑張ってくれているが、感染対策ができないためという理由で修学旅行に行けない車いすの子がいた。自分にも小さな頃から周囲に障害を持つ友達がいて、その子たちと接しながら「一緒に何ができるか」を考えていたからこそ、自分の想像力が膨らんだり行動力のきっかけになった。「できない」という理由で修学旅行に行けないのは本人だけでなく、周囲の子どもたちにとっても残念なことである。

    若者の間で流行しているSNSは、その人の興味のある分野はいくらでも深掘りできるが、興味のない分野はまったくキャッチされない。だからこそ、「障害×環境問題」など、他の分野と掛け合わせてみる。いま関心を向けていない人が興味を持つ何かをフックにして、より広い範囲の人たちに届けることを意識するとよい。

  • Goal 7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに/Goal 13  気候変動に具体的な対策を

    例えば融資など経済的な支援をする場合に、グリーン化を条件に低金利で貸し付けを行うことも考えられる。日本の自治体では行われていないので検討してみてもよい。

    「第2次エコタウンえどがわ推進計画」で「温室効果ガスの排出量を2030年度までに2013年度比で40%削減する」と表明している。次はさらにその先、「2050年の二酸化炭素排出実質ゼロ」を検討して欲しい。

    横浜市が東北の市町村と連携し、東北で生まれた再生可能エネルギーを横浜市の事業者に供給するための協定「再生可能エネルギーに関する連携協定」を結んだ。ぜひ江戸川区も姉妹都市などの自治体と協定を結び、新電力の導入を進めてもらいたい。

  • Goal 16 平和と公正をすべての人に

    今後、福祉などの受益者としての権利擁護はとても重要になる。また、法の支配を決定するときに、訴訟ではなく、調停・あっせんなどADR(裁判外紛争解決手続き)による解決を通じて権利を擁護していくことも、行政に求められていく役割である。

  • Goal 17 パートナーシップで目標を達成しよう

    17のパートナーシップとは「1から16までの取り組みを、17という手法でやっていきましょう」ということである。

    江戸川区が持つ比較優位で他を助けながら、自分たちも他が持つ比較優位で助けてもらう。「自分たちの得意なところで他を助けて、自分たちが不得手なところを得意なところに助けてもらう」関係を築くためにも、自分たちの持つ経験を資源化していくことが必要である。

    国連のパートナーシップ事務局に、江戸川区の取り組みにマッチする機関があるかを尋ねるとき、必ず「江戸川区は何を重点的に実施しているのか」という問いが出る。当然、自治体としては17Goal全てを同時に進めていかなければならないが、その中でも「どこに重点を置くか」は、はっきりとさせていくべきである。例えばニューヨーク市であれば、「6『安全な水とトイレ』、7『エネルギーをみんなに』、11『住み続けられるまちづくり』、12『つくる責任つかう責任』、15『陸の豊かさも守ろう』を重点的に実施していく」と表明していた。ここまでピンポイントではなく、「総合戦略として掲げる目標3つを基本構想として、そこにSDGsの考えを盛り込んでいく」のようなかたちでも構わないので、より具体的な目標を掲げていくべきではないか。

わずか2時間ながら、分科会は白熱し、多様な角度からの意見や、具体的に江戸川区は何を実践していくべきなのかといった意見・提案を委員の方々からいただきました。
今回とは違ったテーマで開催される次回の分科会も、非常に濃密な時間になると感じられる分科会となりました。

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