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第4回 えどがわ未来カンファレンス

令和3年3月15日、「第4回えどがわ未来カンファレンス」が開催されました。第3回に続き、新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みて、オンラインでの開催となりました。

4回目のカンファレンスでは

  • 宗家花火鍵屋15代目・天野安喜子さん
  • 総合内科専門医・おおたわ史絵さん
  • 東京大学大学院情報学環特任教授・片田敏孝さん
  • 国連の友Asia-Pacific代表理事・金森孝裕さん
  • 車いすラグビー選手・壁谷知茂さん
  • 明治大学経営学部公共経営学科教授・菊地端夫さん
  • フリーアナウンサー・久下真以子さん
  • アゼリー江戸川チーフマネージャーのグリズデイル・バリージョシュアさん
  • 思考家・白土謙二さん
  • 講談社FRaU編集長兼プロデューサー・関龍彦さん
  • ローマ五輪女子100m背泳ぎ銅メダリスト・竹宇治聰子さん
  • 株式会社ロフトワーク代表取締役・林千晶さん
  • オランダ語教師のハンス・デ・モスさん
  • 東京大学教養学部環境エネルギー科学特別部門客員准教授・松本真由美さん
  • 株式会社W TOKYO代表取締役社長・村上範義さん
  • 乃木坂46・山崎怜奈さん
  • 上智大学前期博士課程理工学研究科2年・山本華菜子さん
  • デザイナーのライラ・カセムさん
  • (五十音順)

 参加者は以上のとおりです。
 江戸川区長の斉藤猛が座長を務めながら、これまでの3回で委員の皆様から寄せられた提案や意見に対するフィードバックや、各委員より共生社会を目指す江戸川区への新たな意見をいただきました。

委員の皆様からのご提案に対する江戸川区の対応

 第1~3回のカンファレンスの中で、委員の皆様から寄せられた提案・意見は全部で60件。それらを「1年以内に実施します」「2年以内の実現に向けて検討します」「既に取り組んでいます」「対応できません」の4種類に分類しました。
「1年以内に実施します」とした提案は26件。区民のおよそ60%がSDGsを知らないという状況を踏まえて「SDGsの浸透」に注力することや、エンターテイメントを活用しながら江戸川区の良い部分を伝える「区の魅力発信」。さらには、災害時等に障害者・高齢者も安心して過ごせるよう「避難所」の整備も進めることが伝えられました。
「2年以内の実現に向けて検討します」とした15件の中には、温暖化対策に関する他自治体等との連携や、高齢者のデジタル教育、外国人へのサービス水準を向上させるための更なる多言語化などが説明されました。
「既に取り組んでいます」とした19件の提案では、以前からすすめている歩道と車道の段差をなくす工事をはじめとしたバリアフリーの推進、全国初の「東京パラリンピック22競技“できる”宣言」に代表されるパラスポーツの振興、さらに近年注目を集めるインクルーシブ教育の拡充が紹介されました。
 なお、「対応できません」とした提案は0件でした。

各委員の意見

  • <今後策定予定の「共生社会」を対象とした条例(案)について>

    これまで他自治体で策定している共生社会条例は、「障害者」や「外国人」、「環境」といった個別のテーマを対象にしたものがほとんどである。すべての人を対象にした共生社会条例は、約1,700ある自治体でも珍しく、とても先駆的である。

    区政の理念を定めるには、条例という法形式がよい。その理念は、永遠に生き続けていくためである。

    共生社会実現に向けて、区が果たすべき役割、また区民同士、事業者同士など官民以外の領域の協働の位置付けが必要ではないか。

    区職員の範囲や責務をもっと広く規定してもよいのではないか。

    本当に伝えたいことは、「言い切る」のも1つの手段である。例えば、文頭で言い切ることにより、条例のビジョンがより明確になる。

    2100年の未来を意識することも大切だが、同時に2030年頃の近未来も意識する必要があるのではないか。2030年への認識を踏まえ、2100年の未来を描けるとよい。

    2030年に向けて、「サスティナブル」という言葉がキーワードになっているため、この言葉を使用してはどうか。

    条例(案)で書かれている以上に、柔らかい言葉で書いてもよいと思う。

    主語や目的語をもう少し明確にした方が分かりやすいのではないか。

    条例完成後は、ぜひ日本語だけでなく英語や中国語でも発信することも考えていただきたい。

    条例ができた後、より多くの人々に様々な手法を使って条例を伝えていく必要がある。

    この条例制定を機に、障害者をはじめ誰もが住みやすい江戸川区になることを願っている。

  • <高齢者>

    デジタル知識のない80歳前後の女性が、デジタルを使った詐欺被害に多く遭っている。防犯面からも高齢者のデジタル教育を進めていくべきだと思う

  • <障害者>

    知的障害のある方や自閉症の方とのコミュニケーション面でのバリアフリーについても取り組んでいく必要があると思う。

    インクルーシブ教育の更なる推進にあたっては、デジタルテクノロジーの活用が大きなカギとなる。

    更なるバリアフリー化の推進にあたっては、「~しなければならない」という義務的な考えだけでなく、「バリアフリーを導入すれば何かしらのメリットがある」というPRができるとよい。

    「誰一人取り残さない」という考えを理解するには、生きづらい思いを持っている人への共感が重要である。例えば、子どもたちに足が悪くて歩けない人や目が見えない人たちがどのように生活しているかを体験として知ってもらうという方法もある。

  • <パラスポーツ>

    区では体験会も開いているが、健常者も出られるパラスポーツの大会を開催するなど、健常者でも「パラスポーツをやってみたい」と思えるような体験を広げていってほしい。

    「子どもが取材する」ようなかたちでパラスポーツに触れる機会をつくれたら、もっとパラスポーツに興味を持つと思う。

  • <ジェンダー>

    国際的にも「ジェンダーが弱い」と言われている日本だからこそ、ジェンダー施策を強く打ち出していくのもひとつの手である。

  • <外国人>

    行政の手続きを多言語に訳すのも大切だが、訳す前の日本語が正確かどうかを認識すべきである。日本人がきちんと理解できるような日本語にしてから、外国語に翻訳したほうがよい。

    歴史を含め、自国のことを知っておくことが必要な時代だと思う。自国を知ることで、外国人の目から見た日本とのギャップを実感でき、多文化への理解も広がると思う。

    行政手続きの窓口を、国や言語ごとにワンストップにすることも1つの手である。

  • <温暖化対策>

    江戸川区の場合、気候変動対策=水害対策である。新しくできる気候変動適応センターは、防災・安全面について特に考えて欲しい。

    温暖化対策については、「江戸川区でできること」「東京都でできること」「日本でできること」「世界じゃないとできないこと」といったレベルに分けて、それぞれのアクションとして整理していくとよい。

    カーボンニュートラルは2050年にコミットするものである。そのため、2030年、2040年に向けたロードマップやビジョンが必要になると思う。

    共生社会と脱炭素社会を同時に考えるとき、重要となるのがモビリティである。例えば、時速20km/h以下で走る電動モビリティ「グリーンスローモビリティ」等を導入してみるのも一手である。

    区を越えた連携として、例えば、江戸川区の公共施設に東北地方の風力発電の電力を入れるなど、再生可能エネルギーの導入も進めて欲しい。

    横断的な温暖化対策は重要であるが、国際的な水準を目指すのは、一自治体の初手の取組みとしては大きすぎるように感じる。区民にとって、身近な取り組みから始めてもよいと思う。

  • <避難所>

    災害が起こった後、避難所で「流動食しか食べられない人」の食事や、子どもだけでなく「大人でもおむつが必要な人」のためのおむつ、「障害があり床で寝られない人」のための寝床などを適宜支援できるよう、例えばアプリをつくって必要な物資を一括で発信できるシステムなどがあるといい。

  • <なごみの家>

    家の近くにあって、誰もが自由に相談できるなごみの家の機能はすばらしい。世の中には時間にゆとりがあって人の役に立ちたいと思っている人がたくさんいるので、そうした人たちが1~2時間だけでも子どもの面倒を見たり相談に乗ったりと、小さなお手伝いができるシステムがあればいいと思う。

  • <SDGs>

    SDGsの認知度が40%と思った以上に低くて驚いた。自分の周りでは、学校で学んだ人も多い状況である。

    「共感」が重要なキーワードとなってくる。若者は多様性について柔軟な価値観を持っているので、若者に伝えていくためには、上下関係でなく若者目線に立ったフラットな関係を構築し、彼らの価値観・考え方を反映する場所・役割をつくっていくことが大切である。

    条例で「世界人権宣言」に触れるのであれば、国連の定める国際デーをきっかけとして活用し、SDGsの推進キャンペーンに利用するのもよいと思う。

    「経済」「社会」「環境」の3側面を統合する施策を推進する必要があるため、SDGsの169のターゲットまで掘り下げるとよい。

    SDGs推進のステップとして「知る・理解する」「考える」「行動する」の3つを挙げていたが、4つ目として「伝える」を追加するとよい。

    最近、江戸川区の河川敷で旗を振って通勤者を応援している人たちが話題となっているように、良い話は伝わりやすい。そうした良い話を探し、積極的に様々なチャネルで伝えていくことが大切である。

    エンターテイメントを使ったエデュケーション「エデュテイメント」等をきっかけにして、若者にSDGsを知ってもらうことが大切である。江戸川区内も走っている水素バスを使って、ラッピングバスのようなかたちでPRに使用してもよいと思う。

    財政も無限にあるわけではないので、「江戸川区がどんなところなのか」を知らせるためには、「いかに安く」「いかに広く」「いかに簡単に」知らせるかもポイントになってくると思う。